ベーシストにとって、音の最終出口(の一つ)
になるDI。
DIは楽器から出た音が最終的に
会場のミキサーに送られる重要な機材です。
今回は「なんでDIって必要なの?」という話を
ちょっとややこしいですが書いていきますね。
DIって?
DIは「ダイレクト・インジェクション・ボックス【Direct Injection box】」
の略です。
インジェクション=注入
という意味なので、直訳だと、
「楽器を直接接続する箱」ってとこですかね。
DIも本当はD.I.(省略形なので)と書くのが
正しいのでしょうが、多分面倒なので
店頭でも”DI”と書かれていることが多いです。
DIって何してくれるの?
アンバランス→バランス信号の変換
リハスタで、アンプからラジオ番組の音が
聞こえてきた経験ありませんか?
ベースからシールドを伝う電気信号は
「アンバランス信号」と呼ばれています。
覚えなくて大丈夫。
とにかく、アンバランス信号は不安定で、
ラジオの電波や電気ノイズを拾いやすいです。
それに対してDIを通った信号は「バランス信号」
というものになります。
これはノイズを最小限に軽減することができちゃうんです!
つまりDIは音が悪くなりやすい、アンバランス信号を
劣化しにくいバランス信号に変換します。
これなら安心して演奏に集中することができますね!
インピーダンスの変換
もう一つは、インピーダンスの変換です。
エレキベースから出る信号はハイインピーダンス
と呼ばれています。
ハイインピーダンスの信号はノイズが乗りやすいんですって。
測定器で図ると一発でわかるそうですが、
ベース弾くのに知らなくてもとりあえず困らないので
流しておきます。
それよりおっかないのが、この「インピーダンス」を
「ローインピーダンス」にしておかないと、
機材を壊す恐れがあるということ。
海外旅行で、ドライヤーをコンセントに突っ込んだら、
スパークして壊れたなんて話、今時聞かないですかね。
ベース側から、大きな出力で出した音信号を
ちっさい穴の受け口で受けたら溢れて壊れる、
ってことが起こりうるんです。
なので、DIを使って、ハイインピーダンスを
出力を抑えたローインピーダンスに変換します。
余談ですが、オーディオインターフェースなどにある
「Hi-z」というコネクタは、ハイインピーダンスの信号を
入力しても大丈夫なように作られた端子です。
DIの利用シーン
多くのベーシストは、ベースの音と言えば、
アンプから出る音をイメージすると思います。
しかし、ライブでもレコーディングでも、
メインに使うのはDIでライン出力した音になることが
圧倒的に多いです。
その理由は、ベースの音のふくよかさと関係します。
ベースの音は、倍音を含めると、非常に多くの音を
含んでいます。
ベースは低音担当ですが、アタック成分はギターより高く
5-10khz辺りにあるんです。
もちろん実音は数十Hzから始まります。
よくカラオケなどで見るダイナミックマイクだと、
得意とする帯域が絞られているので、ベースの音を
拾い切れないんですね。
コンデンサマイクだと、音域は拾えるかもですが、
音圧が出ないのと、他のパートの音まで拾い過ぎて
しまいます。
マイクでベースの音を拾うと、ドラムなどの音域と
かぶるので、音が回って、ハウリングの元にもなります。
そんな気難しいベースの音を、効率よく会場に送るには
ライン録りが向いているんです。
このライン録りの入り口がDIなのです。
レコーディングについても似た感じですね。
技術の進歩した現代なら、アンプ感を出したかったら、
レコーディング後に、アンプシミュレーターを通せば
良いので、アンプで鳴らした音を取るメリットが
なくなってきたということもあると思います。
おすすめDI
独断でのおすすめDIです。
RADIAL J48 Mk2
ライブハウスだと、BOSS DI-1やCOUNTRYMANなどが
多いかもしれませんが、ブルーノート東京で使われたりと
実績あるDIです。
個人所有しておいて困らない一品だと思います。
原音重視の、使いやすいDIですよ。
A-DESIGNS RED DI
宅録で、弾いていて気持ち良いDIじゃないでしょうか。
楽器弾き大好きなチューブ(真空管)内蔵でもあります。
ベードラほどではないですが、プリアンプっぽいです。
ただ、高価w
G_2Systems R.D.I.
本来DIはこうあるべきっていう感じの原音重視です。
別の意味で、今までと自分の楽器の音が違うと感じると思います。
反応良すぎて、「今まで目立たなかった粗が見えますよ」って言われましたw
むすびに
DIについて、駆け足ですが、まとめてみました。
ぶっちゃけ、個人持ちする必要はないかもしれませんが、
なんで、そんなものがあるのか知ってると安心かなと思います。
宅録するときも、DI買うか、オーディオインターフェイス
に直刺しするか迷ったときにも判断しやすいと思います。
もちろん音作りに積極的に用いるのもありですね。
ほんと、機材は奥深い。