どうして小学校では割り算を教えるときに
「小数」から教えて、その後に「分数」を
教えるのでしょう。
私には疑問でしかありません。
小学校高学年、中学1年の方程式あたりで
数学嫌いを作る『分数』がちょっと身近になるよう、
今日はお話ししたいと思います。
”÷”記号は分数を表現している!
そもそも計算式に書く記号が『分数』を
表してるんですよ。
って話です。
算数・数学の演算子記号について、そのルーツは
諸説あります。
その中で”÷”記号には有名で、納得なルーツがあります。
「横棒と、その上下の点で分子と分母を表している」
というもの。
あのへんちくりんなマークは『分数』を抽象化
したものだったのね。
言われてみればそう見えてきます。
感覚でとらえやすい
2つに分けたうちの1つ。
多少見方に慣れが必要かもしれませんが、
書いてある通りですよね。
これを”0.5”とした場合、
いくつに分けたかなど、いまひとつ
ピンときません。
それが分数だと、感覚的にとらえる
ことができます。
比も楽々
小学校高学年になると「比」が出てきます。
ちょっと、ここは長くなるので節を分けます。
”÷”以外の割り算の演算子記号
「比」の話の前に、割り算の演算子記号
について追加のお話です。
割り算の記号は、先ほど出てきた”÷”のほかに、
“/”や”:”が使われます。
“/”は「1/3の純情な感情(SIAM SHADE)」
なんて曲のタイトルにも使われているので
知らないうちに理解しているかもしれません。
それと同じように、国や人の好みで”:”記号も
割り算の記号として用いられています。
話をもとに戻すと、つまりは「比」は
割り算なんですね。
これを知ると、
2:3=2/3
という教科書の謎な説明が理解できます。
ただ書き方が違うだけで同じものなのです。
余談ですが、“%”は“1/100”を抽象化したものです。
また、”×”は”・”や”*”が使われる
ことがあります。
a:b=c:d⇔ad=cb の理由
いきなり頭が痛くなったかもしれません。
これも「外々、中々」という呪文を忘れて
しまっても、落ち着けば導き出せるんですよ。
a:b=c:d
の”:”を先ほどの話で、”/”に書き換えます。
⇒a/b=c/d
ここで等式の性質を思い出しましょう。
”=”で繋がれているとき、両辺に同じ計算をしても
”=”の関係は壊れないのでした。
“/”も横棒に書き換えちゃいます。
の分母を払うため両辺に(bd)を掛けます。
約分して
⇒ad=cb
つまり、
a:b=c:d⇔ad=cb
となることが証明されました。
帯分数、仮分数は分かりずらい
今まで分数絶賛でしたが、メリットだけ
ではないので、苦手分野も書いておきます。
掛け算と紛らわしくて使わない「帯分数」
中学生以降、まったく使うことのない
「帯分数」ですが、小学校では、なぜに
あんなに一生懸命教えるのでしょうかね。
帯分数にもメリットがないわけではありませ。
小数で”3.5”と書けば、勘のいいひとは
「3個と半分ね」と解釈します。
帯分数ならば、
と、「3個と半分」を視覚的に理解する
ことができます。
でも、使わないんですよ。
と書くのが通常です。
数式の中で帯分数は掛け算の
と区別がしずらいので、出てこないんです。
同じ値を仮分数表現できるので、わざわざ
帯分数は使われません。
感覚的にとらえにくい「仮分数」
「2個に分けたうちの7個」っていう文章、
なんか『あれ?』っとなりますよね。
視覚、感覚的にとらえやすかったはずの『分数』
ですが、
のような仮分数はちょっと受け入れ
にくいかもしれません。
具体的な値は小数が強い
見出しの通りです。
「7/2m進んで~」
という人が誰がいるでしょうか…
「3.5m進んで~」
というのが自然ですよね。
感覚的に、「何個に分けたうちのどれくらい」
と考えたいときは分数。
具体的に値で会話したいときは小数。
を使うのがいいと思います。
きっと自然にそうやってますよね。
分数から教えて小数がいいと思う
「分数がすごい」とか「小数いらない」と
言うつもりはありません。
(時々言ってますが…)
教える順番を、少し変えたらどうかなと思うのです。
割り算の計算(ひっ算)を教える過程で、
整数で割り切れなかった場合小数まで。
そんな流れで小数に突入してると思うのですが、
「ひっ算教える前に分数教えようよ」
と思ってます。
分ける感覚と、約分をしっかり練習させる。
九九を覚えるように。
そのあとでいいと思うんですよ。
約分した数字をゴリゴリひっ算するのは。
そうして、具体的な値を求められれば、
生きていくのに困らないと思ってます。
むすびに
子供がつまずいてるところを見ると、
何となくこのシリーズを書いているのですが、
芋づる式に内容がつながります。
”=(イコール、等号)”については
前述しましたが、割り算の話はこちらでもしています。
分数とイコールが使いこなせると、
かなりの部分がカバーできそうですよね。
話は変わりますが、日本人は道を譲られても
「すみません」と謝る。
と、先日行われた「あげお元気祭り」主催の
泉 雪さんと話したのを思い出しました。
「すみません」じゃなくて「ありがとう」
だよね。と。
私は大いに共感しました。
それとね、一度染みついた習慣は、なかなか
変えられないと感じます。
だから、いきなりでかい数字をやみくもに
割り算して計算間違うんだよ…
分数式にして、約分して、最後にひっ算する
だけで、だいぶん計算ミスが軽減されます。
採点官やってた時の感想です。
今からでも遅くはないので、計算手順を
変えてみてください。
テストで10点くらい変わるかもしれませんよ。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。