算数や数学で、必ず出てくる記号が
“=”(等号、イコール)です。
でも、この”=”の記号の正しい使い方を
意外とどの先生も教えてくれません。
今日は、”=”の正しい意味と使い方を
お話したいと思います。
“=”の意味すること
”=”のいみは、「この記号の左と右は、同じ値だよ」ということです。
イメージは、釣り合った天秤。
なので、次のようなことをしてもよくなります。
- 両辺に同じ数を足してもよい
- 両辺から同じ数を引いてもよい
- 両辺に同じ数を掛けてもよい
- 両辺を同じ数で割ってもよい
この絵のような感じですね。
誤った使い方、正しい使い方
よくある間違い
例1
よくこんな書き方を見ます。
「太郎君はリンゴを2個持っています。
途中、お店で3個買い、そのあと花子ちゃんから
5こもらいました。太郎君は合わせて何個のリンゴを
持っているでしょう。」
という問題、
2+3=5+5=10
このような計算をしている子を、比較的よく見ます。
”=”はその左右が同じ値という意味です。
つまり、2+3=10と言っていることになってしまうのです。
2+3=5+5
=10
と、たてに書いても、残念ながらだめです。
正しくは、
2+3=5
5+5=10
と、出来事を分けて書く必要があります。
例2
太郎君はリンゴを2個持っています。
花子さんはリンゴを3個持っています。
太郎君はリンゴを途中2個もらって、一つ食べました。
花子さんは道すがら、リンゴを1つあげて1つ買いました。
2人のリンゴは合計何個でしょう。
すでにややこしくて、見ていてつらいですね。
式にしていきますが、ダメな例から。
2+2=4-1=3
3+3=6
答え6個
答えだけ見ると、合っているのですが、途中で”=”がおかしいですね。
ついでに、式が何を表しているのかわからないです。
こう書かなくてはダメという書き方というのはないですが、後で読んで、何をしているのかわかる式にしましょう。
太郎君の持っているリンゴの数
2+2-1=3
花子さんの持っているリンゴの数
3-1+1=3
二人の持っているリンゴの数
3+3=6
答え6個
これなら見直すときも、自分が何をしていたのか追うことができます。
私の好みではないのですが、こんな式もありです。
(2+2-1)+(3-1+1)=6
日本語を減らして、一気に書いた感じです。
式はきれいに書きましょう
少し”=”の話しからそれますが、2つの意味で、式をきれいに書くというのは重要です。
自分のため
受験に関していえば、ちょっとした計算ミスが命取りです。
埼玉県の2018年入試問題、1の(2)
6-4÷(-2)
暗算でもできます。
一問一答式なので、解答欄にも答えしか書きません。
でも、問題用紙や計算用紙に、どの問題の計算かわかるように、
6-4÷(-2)
=6+{-4÷(-2)}
=6+2
=8
と書くことをお勧めします。
この問題、配点4点。大問1で49点与えられています。
ここで落とすと、挽回が非常に難しくなります。
採点者のため(それでも結局自分のため)
中学校の先生で、おおよそ120名程度、高校教諭で200名以上。
入試の場合、一人で1000人以上の採点をします。
模試の場合、一日2000人くらいを4日くらいの採点しなくてはなりません。
はっきり言って、途中式の汚い回答は、答えがあっていない限り部分点がもらえません。
どこに何が書いてあるのか読み取れない解答は、加点できないのです。
さらに、答えがあっていても、考え方があっているか確認するとき、暗算でやった結果だけだと論理が飛躍しているので、まぐれ当たりと判断され、答えがあっていても×になる可能性さえあります。
一方、きちんと論理だって書いてある解答は、「ここまでの考えはあっているな」とわかるので、答えが間違っていても加点される可能性が高いです。
採点者も、悪い点数をつけたいわけではないので、自分はどこまでわかっていて、どう考えたのかを「式で」アピールするのが良いです。
どうして最初に教えてくれないのか(私見)
あくまで推測ですが、最初に算数を教えてくれる小学校の先生が”=”の意味と重みを叩き込まれないのではないかと思うんですよね。
中学・高校の教員免許は、各専門教科の単位+教職共通単位の取得になります。
数学の先生は、「数学科」で数学の専門的知識を学び、加えて教員免許を取ります。
これに対し、小学校の先生は、「小学校の教員免許」を取るんですよね。
多くの大学で、小学校の教員免許が取得できる学部は”文系”学部です。
”=”は算数・数学の答えを書く時の記号、という以上に突っ込んだことは、先生も教わらないのではないでしょうか。
むすびに
よくわからないことやらさせられて、書き方もいちいち言われ、めんどくせぇなぁ。
そう思うと思います。
その話は、次の次くらいでしたいと思ってます。
(そこで一時休憩かな。夏休みの宿題も本番になってくるでしょうし)
「面白いな」思ってもらえたら幸いですが、まずは「ふ~ん」でかまいません。
ちょっと意識して、授業やテストに向かってみてください。
数学もクイズと思って、正解した時のうれしさを大切に!
新しい発見も時にはある学びの機会に、ありがとうございます。