電車の中で突然人が倒れたり、
会社で同フロアの人が心肺停止になった経験はありませんか?
そんな時にどうしたらいいのか。
何をしたらいいのか、少しでも知識を持っていると、
倒れた人の命が助かるかもしれません。
考えたくはありませんが、大切な人の命を助けるため、
知識が広がることにより、ひいては自分の命を救うことにつながると思います。
本記事では、応急手当(心肺蘇生)の手順が一通りわかるように書いていきます。
心肺蘇生の必要性
日本では、1年間で約7万人、およそ7.5分に1人の人が心臓突然死で亡くなっています。
救急車が到着するまでの間に、そばに居合わせた人が速やかに、
心肺蘇生など応急手当を行えば助かる命もあります。
救急車が出場してから現場に到着するまでの平均時間は、東京都内で7分19秒(平成29年)を要しています。
東京消防庁 「 応急手当の重要性 」より
私たちが心肺蘇生をするのは、救急車が来るまでの、
約8分間の活動になります。
救急車を呼んだだけでそのままいると、
倒れた人の救命率は9%程度だそうです。
これが、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行った場合、16%。
AEDを用いた心肺蘇生を行うと50%強になります。
あなたの行動一つで、突然の心停止を救うことができるかもしれないのです。
応急処置(心肺蘇生)の手順
それでは、心肺蘇生の手順を、順を追って説明したいと思います。
写真は、私の住む町内で実際に行った、
AEDを用いた応急処置訓練のものを使っています。
指導員と対象者
訓練は
「日本赤十字社 救命救急指導員」有資格者
補助に、
消防署の認定する「上級救命講習修了者」(わたし)
同「普通救命講習修了者」
があたり、
町内の希望者、および、集会所を利用するサークルの方向けに実施刺されました。
応急処置手順
周囲の安全確認
「右よし、左よし、上方よし、後方よし、下よし」
訓練でははっきりと声を出して、周囲の確認を行います。
訓練会場に危険はないのですが、
突然心停止した人が安全な場所にいるとは限りません。
道端だと、車や自転車が通る危険があるので、
必ず周囲の安全を確保します。
意識の有無の確認
周囲の安全を確認、または移動などして確保したら、
次は意識の有無を確認します。
「大丈夫ですか?大丈夫ですか?大丈夫ですか?」
大声を出す必要はありませんが、倒れた人の耳元で声を掛けます。
この時声を返したり、手指が動いたりの反応があれば、
次の救急車を呼ぶことで終われますが、
ダメなら心肺蘇生が必要になる可能性が高くなります。
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次ページでは、周囲の人に救急車などの手配をお願いするところから続けます。
応急処置(心肺蘇生)の手順 (つづき)
救急車とAEDの手配
周囲にいる人を巻き込んでください。
一人で命を助けるのは大変です。
この後の胸骨圧迫なども一人ではしんどい作業になるので、
できるだけ周囲の人に協力してもらった方が良いです。
まずは、
「赤いスカートを着た女性の方、119番をお願いします。
50歳くらいの男性の意識がありません。
連絡が終わったら戻ってきてください」
「青いシャツを着た男性の方、AEDを探してきてください。
もし見つからなくても、必ず戻ってきてください」
と声を掛けます。
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赤線を引いたところは、人間の心理を突いた部分です。
「誰か助けてください」「誰か来てください」
という声掛けだと、集団心理で
「誰か助けるだろう」
と、多くの人がただ通り過ぎていきます。
名前はわからなくても、
「私のことを呼んだかな」
と思ってもらうことで、足を止めやすくなります。
また、最後の「必ず戻ってきてください」
という声掛け。私も訓練で”なるほど”と思いましたが、
そういわれると、どこかに逃げていくのに罪悪感を覚えます。
万が一AEDが見つからなくても、胸骨圧迫時に、
人数が多い方が、救助者の負担を減らすことができます。
最初の声掛けをしっかり行うことで、
倒れた人の命がつながる可能性が上がります。
恥ずかしがらずに、きっちり声掛けしましょう。
余談ですが、私自身、地下通路でこの声掛けができたから、
倒れた男性を助けられた経験があります。
呼吸の有無の確認
応援の手配が終わったら、倒れている人の呼吸の有無を確認します。
冒頭に、応急処置をすることにより、救命率が上がると述べましたが、
1分経つごとに救命率は10%下がるといわれています。
焦らずに、でも手際よく行動することが肝心です。
その点においても、年に1回くらいは訓練に参加してはいかがでしょうか。
呼吸の有無の確認ですが、この時、
上方、または頭の方から胸が上下しているかを見ます。
時間としては10秒以内。
判断がつかない場合、それは呼吸が微弱で危険な場合なので、
迷わず次の胸骨圧迫に入ります。
胸骨圧迫
心臓マッサージとも呼ばれるものです。
どこかで一度くらいは経験されたことがあるかもしれません。
専門業者からマネキンを借りて実施しました。
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みぞおちのうえ、肋骨の平らな部分を、組んだ手の付け根部分で、
上から体重をかけて押します。
大抵の人はろっ骨折れるらしいですよ。
そう聞くと恐ろしいですが、命には代えられないので押します。
だいたい5cm沈むくらいと説明受けますが、
体重乗せて、沈むところまでいってよいでしょう。
弱腰になって加減しすぎると、
心臓を圧迫するのに届かない場合が多いそうです。
30回胸骨圧迫したら、人工呼吸を2回行います。
額を抑えて、あごを上げ、鼻をつまんで「ふーっ」です。
胸が上下するかを横目で見て、上下していれば空気が入っています。
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なかなかうまくいかないですが、何度も繰り返さないで、
また胸骨圧迫に戻ります。
一番大切な救命措置は、胸骨圧迫と覚えてほしいです。
AEDの使用
AEDが到着したら、倒れている人の胸部の服を開きます。
地肌にAEDを取り付けて、指示を待ちます。
言葉で説明しにくいので、画像をお借りしました。
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見たこと、使ったことがないと難しいと思うのですが、
一度使えばまったく難しくありません。
リース契約もできます。近くの取り扱い企業さんにお問い合わせください。
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あとは、AEDの指示に従います。
AEDは2分間おきに心電図をはかり、
心停止ならば電気ショックをおこないます。
その2分間の間はひたすら胸骨圧迫を繰り返します。
救急車が来るまで約分なので、
計4回くらい胸骨圧迫を続けますが、
正直一人ではしんどいです。
ですので、最初に声をかけた2名には、
必ず最後までお付き合いいただきましょう。
その間に、親切な方が加わってくだされば幸いです。
補足ですが、「女性の胸部をさらけ出すのに抵抗がある」
という声もあったので。
命にかかわるのでそんなことを言っている場合ではと、
個人的には思うのですが、感じ方はそれぞれですので。
AEDのパッドを貼るときに胸部を開いた後、
パッドを貼ったら服を戻すか、上からタオルをかけても大丈夫です。
胸部をすべて開かず、右鎖骨部分と左わき腹にパッドが貼れるなら、
服を脱がさなくてもよいとのことです。
ただし、パッドはとても粘着力が強いので、
シップのように張り直しが利きません。
また、ブラジャーはしたままでも電気ショックは流せます。
ただし、この場合、ワイヤー部分にやけどができる場合もあるそうです。
やけど程度で命が助かるなら気にならないなと思うので、
自分なら服は開いて、ブラジャーはそのままにするかなと考えました。
むすびに
長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。
一つ一つは難しくないのですが、
一連の流れになると、訓練で数回繰り返す必要がありました。
また、毎年出席くださるメンバーも、
最低3年ほどは続けてこないと、手順が定着しない感じがします。
冒頭でお話ししましたが、
「大切な人の命を助けるため、自分の命を救うため」
につながる取り組みです。
一人でも多くの方が、
命をつなぐ活動に参加してくれればいいなと思います。
今日も無事に生きられていることに、ありがとうございます。
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